【書評】Head Firstネットワーク――頭とからだで覚えるネットワークの基本

私事で恐縮なのだが、このたび情報処理技術者試験の高度区分であるネットワークスペシャリスト試験に合格した。

 

というわけで、自分がネットワークの勉強をしたときに読んだ本を紹介する*1

www.oreilly.co.jp

 

<どんな本か>

数あるO'ReillyのHead Firstシリーズのひとつである。同シリーズはいずれも独特で特徴的な記法により読者の学習を促進する試みがなされており、ビジュアル重視で、文体はくだけており、考えを深めながら学べるようになっている。したがって何かを「学ぶ」人には格好の教材だ(本稿の趣旨とは若干ずれるが、なかでも私は O'Reilly Japan - Head Firstオブジェクト指向分析設計が好きだ)。

 

本書のテーマは「ネットワーク」である。ネットワークとひとことで言っても、物理層からアプリケーション層まで扱う範囲は極めて広大だ。本書では例えば以下のような基本事項の理解に主眼を置いている。

 

 随所に簡単なエクササイズもあるので、理解を深めながら読み進めることができる。まさに学習教材としてはうってつけであろう。ただし、既にネットワークに関する知識の深い人が読んでも得るもの少ないと思われる。あくまでもネットワークに関する基礎知識を楽しく学習できるものだ。そういう意味でネットワークの学習の初めの一歩としては大変おすすめできる

 

<感想>

自分のバックグラウンドはアプリ開発メインなので、これまでネットワークについてはかなり朧気な理解のまま業務を行っていた。しかしこの本を読んでネットワークについて一定の理解を得ることができたので良かったと思う。ただ正直なことを言うと、前半の物理層の話はあんまり興味を持てなかった。

 

ネットワークに関する技術は現代のインターネットにおいて重要で不可欠なものとなっているし、ネットワークを利用しない場面はほとんどない。しかしその仕組みをきちんと理解する難易度はとても高い(そもそも範囲が広大すぎるし、ひとつひとつも結構難しい)。また日頃の業務においてpingコマンドを利用したりはするけれど、背後の原理やメカニズムについて理解はあやふやなままだったりもした。そんな中本書でネットワークの学習の敷居が下がったのはうれしかった。

 

<こんな人におすすめ!>

  • ネットワークを「なんとなく」理解した状態で仕事をしているエンジニア
  • 過去にネットワークを勉強しようとしたけど難しすぎて挫折した人
  • まだ技術にそこまで精通していない社内SEやインフラ担当者 

 

<逆にこんな人にはおすすめできない>

  • ネットワークの特定の領域に関する深い知識を求めている専門家

  • リファレンスを探しているプロフェッショナル

 

*1:ちなみにもしネットワークスペシャリスト試験の合格を目指す場合は、過去問を3年分3周解答することをおすすめする。ここで紹介する本はあくまでもネットワークに関する「理解」を促すものであり、情報処理技術者試験のような「過去問からの流用が多い問題」の攻略はまた別に必要だ。